Laboratik事例紹介〜株式会社ゼクウ様〜

「管理から自律へ」
社員が働きやすい環境を考えてたどり着いたこと

株式会社ゼクウ
代表取締役 当摩武彦さん

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営業企画室室長 相場敏行さん

ゼクウ_相場

第二創業期でメンバー60人と急拡大中のゼクウ

当摩武彦さん(以下、当摩):株式会社ゼクウは採用管理システム(ATS)採用関連システムや、Webリクルーティング・採用マーケティングの開発・販売を手掛けるシステムベンダーです。設立は2004年ですが2016年にエン・ジャパンの傘下に入り私が社長に就任して以降、組織を拡大してきました。これまで社員数は10人以下でしたが、ここ5年強でメンバーは60人規模まで増えています。

さまざまなSaaSサービスやWebサービスが出たら実験的に試して取り入れて、社内改善に努めています。例えば、エンゲージメントサーベイもその一つ。メンバーに「仕事に対してのコンディションはどうか?」や「会社組織に対して信頼を持っているか? 理念に共感しているか?」などを聞くアンケートを定期的に実施し、組織の様子をチェックしていました。

相場敏行さん(以下、相場):ところが利用していたエンゲージメントサーベイツールではアンケートの質問項目は毎回同じ。もちろん、定点で組織の状態を測るには質問は同じでもいいのですが、本当に実態を表しているかというと疑問が残ります。アンケートに慣れてしまうメンバーもおり、回答内容はあくまで経営側へのポーズになっていたり、ルーチンワーク的に答えているケースも見受けられました。例えば、毎回「エンゲージメント高く仕事に邁進している」と答える人、「エンゲージメントはあまり高くない」と答えながらも一定の仕事パフォーマンスが出ている人、両極の回答がありました。
実際に「エンゲージメントが高い」とアンケートで答えていながら、急に不調に陥ったりするメンバーも居たり、メンバー側が「このアンケートにはこう答えておけば大丈夫」と作為的に回答していたりすると課題は浮き彫りにはなりません。経営側では「何か施策のアクションを取るには物足りない……。労力と効果が見合わない」と感じていたのです。

また、当社はここ5年ほどで一気に人数が30人、50人、60人と増えています。メンバーの多くは入社2年以内くらいで新卒社員も多く居ます。エンジニアや営業が未経験でも、その職種に就いてもらうケースもあります。人数が増えると物理的に経営側が全員と1on1をすることも難しくなります。正しく組織の状態を把握して、課題があれば打ち手を講じる必要があると感じていました。

当摩:そんな折にラボラティック社のツールをプレスリリースで知りました。コンディションチェックのアンケートもありながら、Slack内のコミュニケーションデータを見える化し分析。フォローをすべきメンバーを教えてくれたり、チーム内のコミュニケーション改善提案をしてくれると伺い、「現実に近い組織の状態が把握できたら、従来のエンゲージメントサーベイでの問題を解決できるのでは?」と思いました。また、ツールを使って改善のサイクルを回すことで「個人が気づいて、改善できる」これが実現できるなら、将来性があると思い、導入してみることにしたのです。

コアバリューに紐付いた行動ができる人が可視化

相場:実際にラボラティック社のツールでデータ分析を行ってみると、誰がコミュニケーションの中心にいてハブになっている人材なのかがはっきりと分かるようになりました。ゼクウではコアバリューに「全員が前向きに、すべてを前向きに ――――― All Forward」と掲げ、対仕事では「加速思考・加速行動」、対周囲では「おせっかい」や「立場に関係なく相手と対等な関係であることを理解して、相手に価値になる提案をする」ための「5050」などがあります。可視化されたレポートを見ると、このコアバリューを持っている人が組織の真ん中にいることが分かってきました。

当摩:そもそも当社では、営業もエンジニアもあまり個人の目標を数値で置かず、過程や成果に至るまでのプロセスに対して加点をしていくカルチャーです。一般的に、エンジニアはプロジェクト単位で動いていますが、ともすれば「後輩に指導すると時間を浪費してしまう……。自分が黙々と手を動かせば良いプロダクトが作れるし、他人の成長はどちらでもいい」という価値観を持ってしまいがちです。

それを避けるために、私たちは「おせっかい」や「5050」をバリューに置くことで、“組織に対して”やクライアントや仲間など“目の前の相手に対して”「本当に価値がある提案」をできるかを目指しています。そのマインドを持ったメンバーで組織を作っていくカルチャー経営を実現したい。それを志す上で、誰がバリューを体現しているか、示してくれるツールになると考えて使っています。

相場:バリューを体現している人が見えるだけでなく、Slack内での発言や受発信が見えることで、よりコミュニケーションが主体的になった人が発見できるようになりました。例えば、これまで少し積極性に乏しかった方が、他のメンバーの日報チャンネルにポジティブなコメントをしていたり、バリューを印したスタンプを押しているのを見ると経営側としては嬉しいものです。「この人はマインドセットが変わって成長著しいな」と見て取れた結果、配置転換をした人もいます。

管理から自律へ、個人の主体性を伸ばす経営を

当摩:コロナ禍もありテレワークが当たり前の時代になりました。メンバー個人の生産性を向上させるためのSaaSツールも続々登場しています。ただ、そのツールは「本当に個人が仕事をしているのか?」をチェックするための管理型と、「個人の自主性を促し生き生きと働けるように」するための自律型に分かれるように思います。なかには「本当にパソコンの前に座って仕事をしているのか」を見るためにキーボードの動きを感知したりする管理型ツールもあります。

もちろん、マネジメントの形は千差万別なので、それ自体を私は否定しません。組織を管理型に寄せる形でも短期的には成果が出ると思います。個々人がやるべきことを明確にして数値目標を置き、短いサイクルで達成しているか、管理のためのマネジメントを行う。ベストセラーの書籍『ティール組織』(英治出版刊)におけるオレンジの組織(実力・成果主義に基づくピラミッド型階層構造の組織)で、成功体験を積み重ねていくのも組織の成長を考えたら一つの手でしょう。

ただ、管理型でマネジメントを行っていくと、長期的にはメンバーから組織は信頼を失ってしまうと思っています。「長く働いているのに、管理型のツールを使ってマイクロマネジメントをするなんて……。経営層は私のことを信頼していない……」と思われてしまう。不信感が募れば業務がおろそかになってしまったり、せっかく入社してくれたのに退職に繋がってしまうこともあります。

これからの時代は「管理から自律」が経営のテーマになってくると思います。経営の仕事はこと細かにメンバー自身や物事を管理するのではなく、個人の自主性を伸ばして生き生きと働ける環境を創ること。それによって組織は最大のパフォーマンスを発揮できます。
もちろん個人は完璧ではないので、時にはそれをストレートに指摘して改善するのも経営の仕事。メンバーそれぞれが心理的安全性を持ち、立場を超えて意見を言い合いつつも安心して働ける環境を維持する、そんな努力もこれからの経営には必要です。そういった組織のバランスを把握し、経営の多面性を維持することに、これからもラボラティック社のツールは大きく貢献してもらえるものと期待しています。