【取材記事vol.14】「考えさせる」「聴く」「訊く」「信じる」「捨てる」「見せる」「染み渡らせる」

【取材記事vol.14】「考えさせる」「聴く」「訊く」「信じる」「捨てる」「見せる」「染み渡らせる」

今回の取材では、大手旅行代理店で支店長などの組織の長を務め、組織の立て直しや組織文化の醸成に多くの実績を残された藤野さんに、組織を育てて、社員を育てる方法についての話をお伺いしました。いただいたお話は、業種、職種を問わずに共通する内容でした。

やらされ感のある社員に必要な【考えさせる】

藤野さんが異動辞令で赴任したのは、好成績支店でした。といっても、それは、過去の話で、藤野さんの赴任時は営業成績が低迷し、立て直しが急務とされる状況になってしまっていました。ところが、藤野さんの着任直後に、異動先店舗のNo.2にあたる方も、すでに異動が決まっていました。まさに、最初から既存の組織の知識やサポート体制が得られない状況でのスタートです。 藤野さんは状況を把握するために、スタッフと面談を重ねることで、色々と見えてきたといいます。 「最初の支店長が強権的なタイプだったんですよね。そこで業績が落ちて、今度は緩やかな店長が抜擢されてさらに落ちてしまったんですよね。やらされ感の強いスタッフが育ってしまって。仕事を楽しんでいないスタッフも多くて」 これを払しょくするために藤野さんが行ったのは、目に見える形で、そして自分たちで成果が上がっているとメンバーが感じられる見え方での体制作りです。そのために、チームの意識を高め、チーム同士が切磋琢磨できるような仕組みを構築します。まず、好きな机を使ってもいいというフリーデスク制を廃止してチームの島を再構成し、チーム対抗戦方式で成績を競い合う仕組みを導入していきます。 「自分たちで考えてやっていくと、うまくいったら、もうちょっとこういうことをやろう、みたいな機運も出てきます」 そして、藤野さんはいつでも、自分もその仕組みや取り組みをメンバーと共に実施していくのです。その結果、支店一丸となって「チームで考える」「自分で考えて実行する」という文化が生まれていったそうです。そして、その中から目に見える良い成果が生まれ、「チーム文化の定着と高成績」の好循環になっていったそうです。

社員の自主性は【聞く】と【訊く】で高まる

さて、支店に配属された直後から、藤野さんは全スタッフとの個人面談を実施しています。 「面談を全員とすると、出てくるんですよ。共通した何かが」 面談の場では、藤野さんは話し手ではなく「聞く」聞き手役となり、そしてより深い情報を得るために質問する、つまり、「訊く」訊き役に徹したそうです。 「一方的に話すのは面談じゃないと、実は社内で徹底されていて。7~8割、マネジメントは聞きなさいと言われていました」 とはいえ、藤野さんも最初は話す人だったのだそうです。しかし、自分が話すのをやめて、スタッフの話を聞いていくと、自分はまだ新人なんでどうして良いか分からないという声も多いだとか、メンバーがなんだかどんよりした口調だとか、様々なことに気づいたそうです。 今回の立て直しでは、、メンバーが言われるがままにやっている状態であることを面談から感じ取ったといいます。だからこそ、自分がお膳立てしたとしても、自分たちで動いているように感じられる状態を作っていく必要があったといいます。

上司が【信じる】と部下はそれに応える

そんな藤野さんが、いくつかの支店の立て直しを成功させて、重要なポジションに抜擢されることになるのですが、ここで問題が発生します。 周囲も藤野さん自身も、社内で花形と考えられている部署に異動するとばかり考えていたにもかかわらず、辞令にあった組織は、希望と異なる状態の組織でした。 そこで、社長から藤野さんに、こんなメッセージが届きます。 「藤野さんが異動する部署は、まだまだ自社のマインドが立ち上がっていないところ。いずれ、経営層もさらにその部署に力を入れたいと思っているから、先に行って自社のイズムを作って入れておいてもらいたいんだ」 藤野さんは、この言葉に強い心意気を感じ、自分の希望とは違った・・・という気持ちも一気に吹き飛んでしまったと話されます。 まさに、上司が信じて伝えることの威力を、藤野さん自身も感じた瞬間だったのではないでしょうか。

【捨てる】【見せる】ことで確立させることができる、社員の自立心とチームの信頼感

「イズム」を注入するミッションを受けて異動先の組織では、役職者である藤野さんは商談の同席なども叶わず、なかなか現場の状況を把握することに苦戦したといいます。 藤野さんはそこで、1つ、行動に出ます。 「管理職はまず捨てて、大口案件で実績をあげることにしました」 藤野さんは「外回りで営業実績を稼ぎ(生半可な実績ではありません)、それを組織内に『見せる』」という手段をとったのです。つまり、「イズム=実行すること」を見せて、それを組織の文化として作り上げていったことになります。 旅行会社ですので、実績というと旅行の契約を取ることなのですが、「100名以上の団体旅行の契約を年間3件取ればすごい」と言われる組織で「ハワイで150名。もうひとつがグアムで300名、そしてカナダ150名」と3件の契約を取ったことが社内で評判になり、信頼を得るきっかけになったそうです。 「イズム」を作るにも、まずは藤野さんご自身が職位なども関係なく、チームで一緒に動いて、見せる。どんなに苦しい支店の立て直しでも、一貫した藤野さんご自身の行動の根幹ともいえそうです。

一貫した【染み渡らせる】動き方

藤野さんのお話し全般に共通するのは「染み渡らせる」という意識です。最初は、ただやっているだけだったとしても、徐々にそこに面白さを見出して、みんなが自分から動いていけるようになるまで、ご自身も職位に関係なく動き、その想いや考えを行動と共に染み渡らせていく。 支店長時代の「やらされ感の払しょく」のお話では「私はあくまでも、直属の主任にしか声をかけない」とおっしゃっています。それは、自分がいなくても、チームとして自律的に動ける組織となるような考え方を「染み渡らせる」ことを意図しているのではないでしょうか。 また、新しい部署でのイズムの形成・染み渡らせるための突破口として、どうしても成果を出さなければいけなかった」とおっしゃっています。 「浸透させ、定着させてこその企業文化」という強い意志を感じる言葉でした。

様々な苦しい状況で、自分ならどうするでしょうか? そんなことを改めて考えさせられると共に、組織の枠を超えて、まず聞き方から捉え、自ら動きながら染み渡らせていくという、まさに普遍的に組織作りの真髄を伺うことができました。

【取材協力】
H.I.F.株式会社 取締役業務執行役員
藤野 孝様
https://www.hifcorp.co.jp/

《この記事に関するお問い合わせ》
ラボラティック株式会社 広報担当

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