【取材記事vol.17】「こだわる」「意識する」「(お金と時間を)かける」「惜しまない」「根を張る」

【取材記事vol.17】「こだわる」「意識する」「(お金と時間を)かける」「惜しまない」「根を張る」

「会社を世の中の役に立つ100年企業にすること」。 今回取材させていただいた松下さんは、その思いを言葉で表すだけではなく、そこに向けて着実に実践されている方だと強く感じました。 この記事は、松下さんの思いの中にある「100年企業になるために必要なこと」をテーマにしていますが、全てを網羅できているわけではありません。松下さんの頭(心?)の中には、もっといろいろな100年企業への想いがあるとは思いますが、今回は3つにしぼって記事にさせていただきました。

ビジョンを達成するために必要な【こだわる】と【意識する】

「社会の役に立つというミッションを持った100年企業」というビジョンを達成するために必要なものは「ビジョンに『こだわる』経営者」と「会社のビジョンとミッションを理解して、それを実践することができる人材」だと松下さん。 そして「自分たちだけが儲かればいいのではない。社会の役に立つ会社とは、世のため人のためという経営理念が一番上にある会社」だとも話されます。そのために経営者、社員が『意識する』ことはなんでしょうか。 「自分の家族、妻/夫、子供の目や心を『意識すること』」と続けられました。つまり、ビジョンに向かってビジネスを進めているつもりでも、具体的なレベルで、自分に最も近い人たちに自分がしっかりと誇れるような仕事の進め方、あり方を持つこと。これは、ある意味で、自分の生き方にしっかりとした想いや信念を持つこととも受け取れます。

ビジョン・ミッションを掲げる経営は多く見受けられ、社会的にも定着してきました。一方で、社内で定着・実行する視座の合わせ方のヒントがここにはあると思います。 「仕事の場において、家族に対して誇ることのできる判断をする」 意識を行動に落とし込む意味で、この松下さんから社員の方々に向けて経営方針を実践するためのメッセージは、ぜひ、私たちも取り入れたい点ですね。

人材育成のために時間とお金を【かける】、それを【惜しまない】

人材育成については、2つのポイントを挙げてくださいました。

まず、1つ目は「人材育成には必要なだけ時間とお金を『かける』」。 「社内で行うOJTでも技術は伝えられるけれども、知恵と知識の教育は外部を利用したオンタイムの研修でないと効果がないと考えています。小さな企業だから社員教育に時間とカネをかける余裕がないと言い訳をせずに、経営者の覚悟と信念で時間とカネを『惜しまず』にかけて、人材育成に取り組んでいます」そう話される、松下さん。 人は1日で育つわけではないからこそ、しっかりと採用で見極めて入ってくれたメンバーのことは、とことん育てる覚悟もお持ちだということです。松下さんは、ご自身の周りの経営者の方にも、人への投資についてはよく、お話しされるそうです。

もうひとつは「自社とのフィットが高くない人、自社での活躍が難しそうな人を採用段階で見抜くこと」でした。 「残念ながら、会社が育てようとしても育たない人材が存在することに気がついたのです」と松下さん。 このような見解に至るには、それまでに多くの苦い経験があったと想像します。自社では活躍の場を渡せない人、会社のバリューに共感していない人、会社のステージと本人のキャリアステージが異なる人などは残念ながら存在します。会社の経営方針とマインドが合わない人は面接以前に適性試験などを行って、しっかり見抜く。そうでないと、その人と仕事をするために、周囲が膨大なエネルギーを消費してしまい、チームが本来やるべきことが進まないといった事態を生じてしまうと強調されています。

数十人規模の中小企業では、ひとりひとりの社員の価値が会社の価値に直結するからこそ、社員教育も採用も、理念や方針の軸をブラさずに対応することが非常に重要なのだと、改めて確認ができるお話ではないでしょうか。

100年企業とは【根を張る】こと

100年続く企業は、何代にもわたる経営者が事業を引き継ぐことから生まれます。松下さんが事業を引き継ぐ際に、大きな覚悟を持って、100年続けていくと決められたのは言うまでもありません。 そして、事業がしっかりと根を張って続いていくために何が必要なのか。 松下さんは、その問いに対して様々な角度で答えてくださいました。 根を張り育てていくために、どんな経営理念を掲げて、どんな人と働きたいか。どんな風に育てていくのか。そして、どんな視点で育てていくのか。 「自分にも家族にも誇れる」という言葉には、会社と従業員がともに、しっかりと根を張って育っていくための大事な要素が詰まっているのではないでしょうか。

今回の取材では、切れ味の鋭いご意見をいただきましたが、取材後に考えてみると、その切れ味の後ろでは、人に対する温かさや熱意が松下さんを包んでいるように思います。「その仕事のやり方は、家族へも胸を張っていられるものか」「世の中のためになっているか」。 会社としても、人としても、私たちも今一度、自問自答してみる必要がありそうです。

【取材協力】
ニッカル商工株式会社 CEO/代表取締役
松下 力様
https://nikkal.net/

《この記事に関するお問い合わせ》
ラボラティック株式会社 広報担当

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