今、知っておきたいピープルアナリティクスの5つの動向とは Vol.2

今、知っておきたいピープルアナリティクスの5つの動向とは Vol.2

皆さん、こんにちは。Slackと組織コミュニケーションの専門家、ラボラティック株式会社でCEOを務めている、野口麗奈です。

この記事は、「今、知っておきたいピープルアナリティクスの5つの動向とは Vol.1 からの続きです。特に、3と4のポイントは、ぜひみなさんと共有したいと思っています。

https://note.com/laboratik/n/n9b3d168f1606

昨今のトレンド5つとは

今回のデータソースは、crunchhrというUSのHRのピープルアナリティクス系のサービス企業です。原題は、「Latest Trends in People Analytics」です。

このインサイトコラムでは、6つのピープルアナリティクスのトレンドを記載しています。ここでは、その中でも、日本で参考になりそうな5つを取り上げました。

【5つまとめ】の中でも、前回は 1〜2をご紹介しました。今回は、3〜5についてを取り上げます。

1. Greater Than Ever Emphasis on Insights for Diversity
(ダイバーシティーに関するインサイトの提供)

2. Planning for Success after COVID
(スムーズなアフターコロナの対応の準備)

3. The Need for Storytelling with Data
(データにストーリーを持たせることの必要性)

4. More Attention from Senior Leadership
(組織のトップマネジメント層などからの注目)

5. Productization of People Analytics
(ピープルアナリティクス領域のサービス・製品化)

3. The Need for Storytelling with Data (データにストーリーを持たせることの必要性)

3つ目は、データの取り扱い方が挙げられています。以下は記事を簡単に要約すると、次の通りです。

ただ、データと読み取れるポイントを伝えるだけでは、経営層の意思決定や戦略に役立つデータを提供できるとは限らない。ビジネスの世界では、データを事例として活用し、アクションに紐づけた意思決定を促すために活用されるべきである。

https://crunchr.com/learn/latest-trends-in-people-analytics/
筆者意訳<<野口コメント>>
データにストーリーを載せるとは、データによって、より的確な意思決定を促すことに他ならないと言えそうです。

弊社では、「お客様に提供するのはデータであって、データではない」と考えています。データには、目的を必ず伴います。
例えば、ある自動車のブレーキ測定のデータがあったとしたら、そのデータは「自動車のブレーキ精度を確認し、人命に影響が及ばないことなどを判定する」といった判断のために使用しています。

組織のデータも全く同じです。
よく、お客さまから「XXXというデータを知りたい」とご要望を伺うことがあります。この知りたいが、どんなアクションと紐づくか? というのを私たちはお客様とすり合わせています。
データを知りたいということには、必ず、何かしらの前提や欲求があります。そこには、お客さまの課題感や現状に関する違和感などがあるはずです。
この話は、今度、より深く検討していきたいと思っていますが、ここに留めますね。

4.More Attention from Senior Leadership(組織のトップマネジメント層などからの注目)

4つ目は、ある程度シニアのマネジメント層からの注目が集まるという点。これも、これまでの経緯からすると自然な流れと言えそうです。コラムでは、以下の通り要約しています。

ビジネスの優先度を決定づける、成長、生産性や予算は、職場(つまり、従業員の働きぶり)と当然ながら直結している。そのため、前述の内容と関連づいたデータを活用することは、組織を率いるリーダー層にとって必須になるだろう。(例として、従業員の定着度合、エンゲージメントスコア、営業等の人的配置などのデータ基にした、人事と経営層向けのコミュニケーションが挙げられる)

https://crunchr.com/learn/latest-trends-in-people-analytics/
筆者意訳
<<野口コメント>>
日本でも、エンゲージメントに関するデータについては、実践している企業も多くあります。また、50名以上の企業であれば、ストレスチェックの実施が義務付けられています。こういったことも、数字を扱った指標と言えそうです。
私は、経営層や上層部の皆さんが、組織や人事的なデータを積極的に取り入れた運営は、今後さらに浸透していくと考えています。その理由の1つは、働き方についての選択肢の増加です。これまでは、出社すれば状況が何となく把握できるだとか、長年の経験で感覚的に捉えられることも多くあったかもしれません。しかし、働き方が多様になり、職場に全員がいる前提もなくなり、職場をベースとして何かを感じ取ったり、自然と情報が入ってくる環境でもなくなってきています。
このような状況であるからこそ、データ活用が重要になるのです。数値から検討をつけざるを得ないとも言えそうです。今は、どのような数値を確認すべきか? 企業ごとに、確認すべき数値や指標作りの過渡期にある、とも言えるかもしれません。

5.Productization of People Analytics(ピープルアナリティクス領域のサービス・製品化)

5つ目は、こういったデータ活用ツールのサービスや製品化が進むということ。コラムでは、以下のような点を指摘しています。

多くの企業で、自社開発のHRツールや解析ツールをこれまで活用している。一方で、活用するデータの複雑性が増し、自社開発ツールでは追いつかない、または、プライバシーなどの観点で活用しにくい状況になることもある。
また、これまで限定的に活用されていたデータは、今後、活用者や利用部署数が社内で増えることで、インサイトを増やすようになるだろう。

https://crunchr.com/learn/latest-trends-in-people-analytics/
筆者意訳
<<野口コメント>>
ツールという意味では、より平準化させて、利用ユーザーを増やすことでインサイトを深める動きがありそうです。これは、経営や人事として確認するデータと指標が、探索フェーズから、ある程度の平準化フェーズにきているということなのかもしれません。
何を見るべきかの議論から、確定した指標からアクションに落としこみ、意思決定を早めたり、より具体的に実行することにリソースを割くことを可能にするのですから、経営者や人事の方にとっては、これらの平準化は歓迎すべき点と言えるでしょう。

データを軸に、組織を捉えてみることの重要さ

いかがでしたでしょうか。これらの動向が、データを活用しながら、組織を捉えてみることへの、みなさんの何かしらの気づきに繋がったら嬉しいです。
私は、組織のデータは、実態にどの程度乖離があるか、正しいとかそうでないかの議論で、データで考える文化を潰さないことを心がけています。
そのためには、まずはデータを眺めてみることにしています。眺めていると、「もしかしたら、こういうことなのかな?」という想定が湧いてくることもあります。
何も見なければ、状況を考えるのは感覚値です。しかし、何かしらのデータを見ると、まずはそれが「何かしらの実数値」に変わります。
実態をどう理解するか? そんな風に、データと一緒に最初の一歩を踏み出すことが大事ではないかな、といつも思います。

最初は、上手にデータを見られないことも、捉えられないこともあります。私だって、なかなかうまくできないこともあります。
それでも、どういうことなんだろう? この興味を忘れずに向き合っていけると良いですよね!

読んだよ はコメントやハートを残していただけたらありがたいです。
気に入ってくださったら、フォローも大歓迎です!

ラボラティック株式会社
野口 麗奈

Slackのコミュニケーションデータを組織の資産にしませんか?

「NEWORG(ニューオーグ)」は、Slackのデータを分析・活用し、チーム状態を解析するサービスです。
Slackのコミュニケーション分析とチーム状態を知るアンケートの融合で、管理職のマネジメントへの悩みを払拭します。
気になる詳細は、今すぐ以下からお問合せください。

https://neworg.laboratik.com/resources